音声処理AIを利用した話者特定・声認証は、新たなセキュリティーツールとして台頭してきています。
誰が話しているのか、この声は誰なのか、ということをAIで識別することによって、住所などの個人情報を照合するよりもはるかに高いセキュリティーを誇るのです。
セキュリティーには一層力を入れたい業界では、すでに導入しているところも少なくありません。
そこで今回は、話者特定・声認証の仕組みやメリットをご説明すると同時に、活用事例もご紹介していきたいと思います。
【目次】
1.音声処理AIの話者特定とは?
2.声認証の仕組み
声認証のメリット
3.声認証を用いたセキュリティー
4.活用事例
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- マンションのエントランス
- 銀行の各種サービスでの本人確認
- クレジットカードの各種サービスでの本人確認
5.AI音声処理システムでセキュリティー強化に努めよう
音声処理AIの話者特定とは?
音声処理AIの話者特定とは、例えばあらかじめAさんの声をAIに記憶させておいて、次にAさんが喋った時に「今喋っているのはAさんだ」と学習させるシステムです。
よく混同されがちな「音声認識」とは異なるもので、音声認識は「誰が喋っているか」ではなく、「何を喋っているか」を認識するものです。
いずれもSiriやGoogle Homeなどのスマートスピーカーの登場によって、現在飛躍的に普及しているシステムと言えるでしょう。
そのうち、今回焦点をあてる話者特定はセキュリティー面でさまざまな企業で活躍しています。
声認証の仕組み
話者特定におけるセキュリティー強化についてお伝えする前に、AIがどのように話者特定に必要な声認証を行っているかの仕組みをご説明します。
声認証は、声紋(周波数など)から話者の声の特徴を抽出し、データベース上の特徴データと照合することで個人特定します。
声認証のメリット
声認証のメリットとしては、汎用的なマイク一本あれば利用可能である上、顔認証のように光の加減などの環境条件にも左右されにくい点が挙げられるでしょう。
そのため、導入のハードルもそれほど高くありません。
さらに、顔認証、指紋認証などとは違い、通話などの離れた場所からでも認証が行える点も大きな利点です。
声認証を用いたセキュリティー
さて、声認証の仕組みをお分かりいただけたところで、ここからは「音声処理AIの話者特定とは?」でも少し触れた声認証を用いたセキュリティーについてご説明していきます。
声認証がどのようにセキュリティー面で一役買っているかと言うと、やはり本人確認が必要な場面でしょう。
例えばクレジットカード会社に問い合わせをする際、本人確認のために氏名・生年月日・住所などを聞き出して認証を行う場合がほとんどです。
しかし、氏名や住所はふとした瞬間に外部に漏れてしまいやすいもの。
宅配便の伝票をシュレッダーにかけずにそのまま丸めて捨ててしまう方は意外にも多いものです。
また、ネットショッピングなどで登録した個人情報が漏れてしまう可能性もゼロとは言い切れません。
そういったところから、個人情報が流出してしまい、悪用されてしまうのです。
電話口で伝えられた個人情報と、データベース上に登録されている情報が一致すれば、クレジットカード会社は問い合わせに応じますよね。
そこで活用したいのが、声認証(AI音声処理)です。
一度ユーザーの声をAIに記憶させれば、別の人がその人を装って電話をかけてきても認証が一致せず、弾くことができます。
これは、氏名や住所を確かめるだけよりも、セキュリティー面においてはるかに強固なものと言えるでしょう。
活用事例
それでは、声認証を実際に導入している活用事例をご紹介します。
マンションのエントランス
マンションのエントランスに声認証システムを導入するところも出てきています。
要するに、声でエントランスを解錠する、ということです。
近年、凶悪な犯罪が増している中で、セキュリティーが強固であることはマンションの買い手として重要視したいところ。
あくまで鍵との併用にはなりますが、鍵だけの解錠よりもより高いセキュリティーを誇っています。
銀行の各種サービスでの本人確認
銀行でも、声認証のシステムを導入するところが増えてきています。
コールセンターでの本人確認はもちろん、ネットバンキングのログインや振り込みの際に、簡単に、そして安全に本人確認が取れるのです。
銀行は特にセキュリティーに力を入れるべき場所。
ユーザーの声の周波数などを照合し本人確認を行い、ユーザーを装った悪質ななりすましも瞬時に弾くことができるため、一部の銀行では重宝されています。
これから導入する銀行もどんどん増えてくるのではないでしょうか。
クレジットカードの各種サービスでの本人確認
大手クレジットカード会社でも、声認証導入の検証を昨年から行っているといいます。
銀行同様、コールセンターではもちろん、ネットでの支払い状況の確認やネットキャッシングなどを行う際に、声を使って本人確認を行うのです。
よりセキュリティー体制を盤石にし、ユーザーの個人情報をこれまでよりも慎重に扱うカード会社が続々と出てきています。
AI音声処理システムでセキュリティー強化に努めよう
声はごまかしようがないため、なりすましの事故や事件を防ぐのにうってつけです。
AIが一度記憶したご本人の声紋と今喋っている人の声紋を照合するため、精度が高い点もメリットでしょう。
セキュリティーが重要視される業界は多岐にわたりますが、上記の事例でご紹介したようなマンションや銀行、クレジットカード会社などでは、特に取り入れていただきたいシステムです。
ユーザーの安全と企業の信頼のために、AI音声処理システムを導入してみてはいかがでしょうか。